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改正薬事法のまとめ

薬剤師の利害

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ネット販売規制の経緯

施行されることによって

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改正薬事法特集記事 (薬剤師の現状)


「医薬品のネット販売規制」を賛成する規制推進派は、改正薬事法の内容の中の、医薬品のネット販売が規制されるか否かで最も利害関係が働く団体と断言できる。この事を説明する為には、薬剤師が余っている現状を説明する必要があるので、以下に概要をまとめる。
 
薬剤師の資格が必要な主な仕事は、「病院」、「診療所」、「薬局」などである。医師の資格を持った人は96%が医師として働いているのに対し、薬剤師の資格を持った人は「病院」、「診療所」、「薬局」で働くこともできる他、薬剤師の資格は必要ないが「薬学部で専門教育を受けた薬の専門家」として、製薬企業、研究所、大学で働くという幅広い選択肢がある。さらに、平成19年の薬剤師の平均年収は512.7万円で、同じ医療関係の平成19年看護師の平均年収455.6万円に比べ、高待遇と思われる事から「薬剤師の資格」や「薬学部で教育を受ける事」に人気が集まり、20~30年前から「薬剤師数」は上昇し続けている。
 
しかし、大手ドラッグストアチェーン店の成長もあり、その影響を受けて「良く知られた風邪薬や鎮痛剤」ならば、病院や診療所で処方箋をもらって医薬品を買う人よりも、ドラッグストアで買った方が安くすむし便利という人が多くなった。その結果ドラッグストアは店舗拡大や営業時間延長など拡大を続け、病院や診療所は「薬剤師が余る」状況になり、必然的に薬剤師の資格を持った人は、「資格」を生かした仕事に就こうと思うとドラッグストアや薬局しか選択肢はなくなる。(仕事の面では、製薬企業、研究所、大学という選択肢もあるが、それらは「薬剤師の資格」が必要というわけではなく「薬学の教養」が必要とされ、薬剤師だからといって必要とされるわけではない。)
 
ドラッグストアや薬局という選択肢は残っていますが、その場合経営者からすれば、薬剤師の給料は他の人よりも多いので、店長クラスなどそれなりの仕事を期待するのが必然。そうなると、医薬品の知識よりもいかに効率よく商品を配置して販売するかなどの事柄が重要になってしまい、激務の割に給料が合わないという事が発生する。薬剤師からすると、仕事はあるがキツイ仕事ばかりで選べないという状況であり、実際は「薬剤師がやりたがらない仕事」ばかりで、薬剤師はいるが「薬剤師がやりたがらない仕事」をする薬剤師が不足していると言える。反面、ドラッグストアチェーン店経営者は、店舗拡大には「薬剤師が必要」なので、(激務であるが)高給与の求人広告を並べ、世間的に見れば「薬剤師は不足している」と見える。
 
さらに2003年に、文部科学省の強い指導がなくなったので、要件さえ満たしていれば薬科大学や薬学部の新設が容易となり、全国各地で薬学部新設が相次いだ。薬剤師不足という、「世間的な見方」だけをみて「薬剤師の資格があれば大丈夫」と考え、薬学部に進学した者も数多くいたが、現場(現職の薬剤師)の誰もが、薬学部は増え続け、薬剤師の資格を持つ者は増えるが、就職先がないという事態に陥ることは既に分かっていたと思う。大学の経営者は薬学部の人気に陰りが出たら、その時に一番人気がありそうな学部に鞍替えすることは容易なので、薬学部の「世間的な人気」がある内は大学のパイプで就職先は(薬剤師がやりたがらない仕事でも)何とか探していこうとしたと考えられる。※2003年の薬学教育協議会の調査では、薬剤師全体で、薬剤師の資格を必要とする職業に就いている人は約3分の2。つまり、ドラッグストアの求人広告は出ている時代であるが、残りの3分の1はその仕事を選ばなかったと言える。
 
また、2003年6月に、「利用者の利便と安全の確保について2003年中に十分な検討を行い、安全上特に問題ないとの結論に至った医薬品すべてについて、薬局・薬店に限らず販売できるようにする」という政府の方針が決定し、2006年の薬事法改正が成立。副作用の大きな薬については対面販売を徹底する一方で、副作用の小さな薬については薬剤師資格を持たない登録販売員やコンビニでの販売を認めることで薬剤師の逼迫を緩和することが目的である。結果、コンビニエンスストアや通信販売での医薬品販売が公認されたことになる。※法案は薬店の出店攻勢に薬剤師の確保が追いつかず、テレビ電話での問診など様々な販売形態が出てくるという状況のなかで論議されたものだったのだが、「薬剤師の確保が追いつかない」のは薬剤師がいないわけではなく、「薬剤師として活躍できる薬剤師は十分すぎるほど(薬剤師全体の3分の1)」ということは周知のとおり。
 
その2006年から、ネットでの医薬品市場が凄まじい勢いで拡大し、2009年現在、ネットでの医薬品販売事業は年約300億円超で、今なお成長基調である。このまま拡大し続けると、人件費が少なくてすむネット販売は薬剤師の雇用を圧迫し、これからは薬剤師は「薬剤師がやりたがらない仕事」すらなくなる状況になるというのは目に見えている。この状況が続けば、大学の就職パイプも機能しなくなるのも時間の問題で、そうなれば薬学部・薬科大学の共倒れが始まる。大学の経営者は薬学部を一番人気がありそうな学部に鞍替えすればいいので大学は生き残るが、2003年~2005年の新設大学の為にかき集められた教官も含めて多くの薬学部の教官が職を失い、その新設大学の薬学部卒業生が国家試験を通る、2010年頃~2012年頃には薬剤師が有り余る状況となり、「薬剤師の資格」は国家資格であるに関わらず、ほぼ無駄な資格となってしまう可能性が高い。
 
もちろん「薬学部での教養」を役立てられる場所は製薬会社や研究機関など存在するが、新設大学を乱立させ、競争率を下げて産出した有り余る薬剤師の地位は低下すると容易に予測できる為、「エキスパートと呼べる能力を持った薬剤師」やコネがある薬剤師だけが満足に就職できる状況になると考えられる。「薬剤師の資格」はパスポートみたいなものになり、「医師免許」とは今以上に差が顕著なものとなるだろう。

 

目次


●改正薬事法特集記事(第一部) 2009年2月18日執筆完了
改正薬事法特集記事 (改正薬事法の概要)
改正薬事法特集記事 (販売店の利害)
改正薬事法特集記事 (厚生労働省の利害)
改正薬事法特集記事 (施行されることによって)
 
●改正薬事法特集記事(第二部) 2009年2月27日執筆完了
改正薬事法特集記事 (ネット販売規制の経緯)
改正薬事法特集記事 (医薬品での自殺未遂の疑問)
改正薬事法特集記事 (薬剤師の現状)
改正薬事法特集記事 (薬剤師の利害)
改正薬事法特集記事 (2009年の改正薬事法)
 
●改正薬事法特集記事(第三部)
改正薬事法特集記事 (これまでの薬事法の影響)
改正薬事法特集記事 (改正薬事法施行までのニュース【1】)
改正薬事法特集記事 (改正薬事法施行までのニュース【2】)
 
●改正薬事法特集記事(医薬品新販売制度に関する検討会)
第1回医薬品新販売制度に関する検討会
第2回医薬品新販売制度に関する検討会
第3回医薬品新販売制度に関する検討会
第4回医薬品新販売制度に関する検討会

 

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