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人工甘味料の功罪

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人工甘味料の功罪特集記事 (人工甘味料の歴史)


人工甘味料として世界で初めて発見されたのは、1878年に化学者コンスタンチン・ファールバーグが実験中偶然に発見した、砂糖の約300~400倍の甘みを持つ「サッカリン」である。「サッカリン」は現在も使用されており、いろいろな加工食品に用いられている。1937年には、砂糖の約30倍の甘さを持つ人工甘味料「チクロ」が発見され、1945年には人工甘味料「ズルチン」が開発される。
 
日本で人工甘味料が脚光を浴び始めたのは、戦後の食糧難の頃からである。当時、砂糖は貴重であり、製品の8割が砂糖だという製菓業界においては、砂糖の価格の高低は死活問題であるので、微量でも十分な甘さが確保できる人工甘味料は、砂糖に比べずっと安上がりな甘味料として広く受け入れられた。主に使用されていたのは、上記の「サッカリン」、「チクロ」、「ズルチン」などである。
 
しかし1960年代に入り、人々のライフサイエンスへの関心が高まってくると、人々は食品添加物の危険性(特に当時不治の病であった発癌性)に対し、過剰なまでに反応するようになった。当時は癌に対する情報や理解が不足しており、発癌テストが陽性のものは全て排除しようというパニックじみたものに発展する。よって、食品衛生法により「ズルチン」は1969年1月、「チクロ」は1970年、「サッカリン」は1973年11月に全面禁止となった。
 
「ズルチン」は中毒事故がかなり多かったことと、肝臓機能障害や発癌性等の毒性が認められた等、禁止になってもおかしくはなかったが、「チクロ」や「サッカリン」に至っては、いいかげんな発癌性の疑いだけで全面禁止となっている。※「サッカリン」は動物実験で雄ラットに膀胱癌の発生が見られたが、経口摂取ではなく、サッカリンの錠剤を膀胱内に埋め込むという非現実的な条件で行われたものだった(雌では発癌性等は見られず)。
 
「サッカリン」に限っては、1ヶ月後食品別の使用基準が制定されると再認可されたが、「チクロ」の方は現在でも日本で使用が禁止されている。1970年代当時、他の人工甘味料に比べ、すっきりした砂糖に近い甘味をもつ「チクロ」は食品、菓子を問わず好んで使用されており、使用禁止になったときの食品業界の混乱はひどいもので、生産したカンヅメや飲料を回収し廃棄処分しなくてはならない事態となり、資金力のない中小企業も多く、缶詰メーカーの倒産が相次いだ。倒産しなかったメーカーでも、チクロを砂糖に切り替えた事による原価の上昇で売り上げが落ち、商品を販売終了させなければならない事となった。※余談ではあるが、発癌性や催奇形性の疑いが指摘された「チクロ」も結果を否定する研究結果があり、現在でもヨーロッパ圏やカナダでは、甘味料としてチクロが使用されている。その為、各国の食品行政の対応が異なり、輸入食品回収事件の原因となっている。日本ではチクロは法律によって禁止されているが、チクロが認められている国も多数あるということである。
 
1970年代当時の食品業界を震撼させたチクロ全面使用禁止のニュースであったが、1966年に発見された「アスパルテーム」がその名を轟かせ始める。この発見に世界中の多くの企業が興味を示すなか、製造特許を取得したのはアミノ酸合成で高い実績を誇る、日本の食品メーカー「味の素株式会社」である。日本では1983年に食品添加物として認可され、アスパルテームを使った食卓用甘味料「パルスイート」が同社から販売されている。
 
この「アスパルテーム」は、日本で1984年に発売された「ダイエットコーラ」にも使用されることになる。アメリカでは大ヒットした「ダイエットコーラ」だが日本ではあまり発展せず、アスパルテームのみのノーカロリーのダイエットコーラと、果糖とアスパルテームを併用したローカロリーのダイエットコーラの2種類が発売されたが、定着したのはローカロリー(12kca/100g)のダイエットコーラである。しかしながら、レギュラーコーラ(砂糖入りのコーラ)の派生品という感じは否めなかった。理由として、「アスパルテーム」は砂糖の味わいと比べると随分軽くて薄っぺらい印象を受け、味質に関しては砂糖をはじめとする糖類に歯が立たないのが現状であった。それでも、戦後と比べ砂糖が安価になってきている中、人工甘味料が「安価で使いやすい物」から「カロリーが少なく甘みがある物」として新たな見方が加わってきている時代だと言える。
 
その後、「アセスルファムK」、「スクラロース」など様々な人工甘味料が発見・開発される。近年では数種類の人工甘味料をブレンドさせるなどして、人工甘味料の後味の悪さや物足りなさを改善し、天然甘味料に近い味わいを実現しようとしている。2005年発売の「コカコーラZERO」や、2006年発売の「ペプシNEX」は、ブレンドした人工甘味料を使用し味にこだわった製品作りをしている。
 
両者共、カロリーゼロでありつつもレギュラーコーラに劣らない味を売りにしており、ブランドイメージもこれまでのダイエットコーラとは一線を画す、キャッチーで刺激的なものになった事から、ようやく人工甘味料が天然甘味料と肩を並べてもおかしくないと言えるようになってきた事の表れと言える。
 
現在では、ダイエットとしての人工甘味料という面だけでなく、砂糖に比べ、体内に吸収される割合が少ない事から、糖尿病の予防や治療としても研究が進められている。

 

人工甘味料の功罪特集記事 ~目次~


人工甘味料の功罪特集記事 (人工甘味料の概要)
人工甘味料の功罪特集記事 (人工甘味料の歴史)
人工甘味料の功罪特集記事 (人工甘味料の功績)
人工甘味料の功罪特集記事 (人工甘味料の罪過:人体への危険性)
人工甘味料の功罪特集記事 (人工甘味料の罪過:カロリー計算能力の混乱)
 
■人工甘味料の種類
・ サッカリン
・ アスパルテーム
・ チクロ
・ アセスルファムK

 

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